遍在、不死、メタモルフォーゼ 基本情報・作家紹介・見どころ

基本情報

「遍在、不死、メタモルフォーゼ」 Omnipresence, immortality and metamorphosis

会場:瑞雲庵 Zuiun-an

入場料:無料 Admission : Free

主催:art-sensibilisation 助成:公益財団法人西枝財団「瑞雲庵における若手創造者支援事業」/ Young Curator Support Program by Nishieda Foundation

キュレータ:大久保美紀/ Curator : Miki OKUBO

出展作家:Artists : ジャン=ルイ・ボワシエ/Jean-Louis BOISSIER, フロリアン・ガデン/Florian GADENNE, クワクボリョウタ/Ryota KUWAKUBO, 石橋友也/Tomoya ISHIBASHI, 入江早耶/Saya IRIE, 古市牧子/Makiko FURUICHI, 

関連イベント

2024.4.27 14 :00-18 :00 アーティストトーク・オープニングレセプション

出演: 石橋友也、入江早耶、フロリアン・ガデン、クワクボリョウタ

展覧会について

「わたしたち(あらゆる生きもの)は同じ一つの生であり続けている」(エマヌエーレ・コッチャ)

 この衝撃的なフレーズは、『植物の生の哲学』で知られるイタリア人哲学者エマヌエーレ・コッチャの言葉だ。人類の活動が地球全体へ深刻な影響を及ぼす「人新世」において、私たちはいかに人間中心主義を乗り越えられるのか。非人間存在を思いやり、地球環境に配慮するとはいかなることか。

 「メタモルフォーゼ」(métamorphosés, 変身/変態)が可能にするのは「共感」だ。あらゆる生は「メタモルフォーゼ」でつながれる。すべての私たちは異種混淆であり、過去・未来と地球上全体に拡がっている。「メタモルフォーゼ」はそれゆえ遍在であり不死である。

 「伝統と革新」を象徴する野心的空間・瑞雲庵において、世代・表現領域の異なる6人の日仏アーティストが、アートをつうじてエコロジーを問う。

About the exhibition

This striking phrase is from the Italian philosopher Emanuele Coccia, known for his “The Life of Plants”(2016). In the “Anthropocene”, where human activities are having a serious impact on the entire planet, how can we possibly overcome anthropocentrism? What does it mean to be compassionate toward non-human beings and to care for the global environment?

What “metamorphosis” makes possible is “empathy”.

All life is connected through “metamorphosis”. We are all heterogeneous and sprawled across the globe in the past and future. Metamorphosis is therefore omnipresent and immortal.

In the ambitious space of Zuiun-An, which symbolizes “tradition and innovation”, six French and Japanese artists from different generations and fields of expression will question ecology through art.

作家紹介

ジャン=ルイ・ボワシエ/ Jean-Louis BOISSIER

1945年生まれ. メディアアーティスト、キュレータ、パリ第8大学名誉教授. 1980年代より、CD-ROMを使用したインタラクティヴ・インスタレーションを通じて、鑑賞者と場の変容の問題に着目.主著に« La Relation comme forme : L’interactivité en art, nouvelle édition augmentée » (2004),  « L’Écran comme mobile » (2016).

フロリアン・ガデン/ Florian GADENNE

1987年生まれ. ナント=サン・ナゼール高等美術学校修了(修士). ミクロ・マクロの観点を行き来しながら、人間中心主義的なエコロジーを批判し、日常を見つめる詩的な視点を提唱する。その表現は絵画、彫刻、映像など多様な形態をとる. PARIS ARTISTES入選(2015), Art Award In the CUBE 2023入選(2023)や500m美術館賞グランプリ賞(2023), 第27回岡本太郎現代美術賞特別賞(2024).

クワクボリョウタ/ Ryota KUWAKUBO

1971年生まれ。情報科学芸術大学院大学教授。電子回路を素材とした「デバイス・アート」の代表作に《ビットマン》(1998)、《PLX》(2000)、《ニコダマ》(2010)などがある。2010年《10番目の感傷(点・線・面)》で第14回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞。以後、光と影による内的な体験を促すインスタレーションを制作。ソロ活動の他、パーフェクトロンとしての活動では『デザインあ展』(2018)の展示構成などを手がける。

石橋友也/ Tomoya ISHIBASHI

1990年生まれ. 早稲田大学大学院電気・情報生命専攻修了. 金魚、漆、言語など自然と人為の境界に着目し、科学・テクノロジーの視点からそれらの性質、構造、歴史に迫る. 第23回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞(2021)、WIRED CREATIVE HACK AWARDグランプリ(2019)、第25回岡本太郎現代芸術賞入選(2022). 個展に「コトバノキカイ」(TOKAS hongo, 東京).

入江早耶/ Saya IRIE

1983年生まれ。広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了. 第6回shiseido art egg賞受賞(2012). International Studio & Curatorial Program参加 (2022, ニューヨーク, ポーラ美術振興財団助成). 個展に「デイリーモニュメント」(2023, 国際芸術センター青森),「純真遺跡〜愛のラビリンス〜」(2019, 兵庫県立美術館) など。消しゴムでイメージを消して、でた消しカスを練り上げて彫像するという独特のアプローチを追究.

古市牧子/ Makiko FURUICHI

1987年生まれ. ナント=サン・ナゼール高等美術学校修了(修士). ナント市賞受賞(2018)。「ブドウの時代」(AXENÉO7、カナダ、2019), 「ドリーム・ジャングル」(Hotel Amiral、宿泊室全体をインスタレーション, ナント)、「KAKI Kukeko」(FRAC、カルクフー), 「手のひら泥棒」(WISH LESS gallery、東京)など. 洗練された独特な水彩画のテクニックと色彩による表現を追究. 

見どころ

【ジャン=ルイ・ボワシエ « Crassula ubiquiste » 国内初展示

« Crassula ubiquiste »/ 遍在するクラッスラは、植木鉢に挿木されたカネノナルキ群です。30年ものあいだ、作家が世界各国で採取し、パリの自宅で育てています。本プロジェクトは2014年にパリのギャラリーYGRECで開催された展覧会Média Médiumsで展示されました。

本展覧会では、作家が2023年11月に日本で新たに挿木した4つのカネノナルキを含む12点を展示します。

« Crassula ubiquiste »についてより詳しく知るテクストはこちら。

crassula ubiquiste 資料 download

【フロリアン・ガデン 新作を加えた « Visions lyriques »】

2021年に日本に移住したフランス人の美術家フロリアン・ガデンが日々の取り組みとして続ける絵画シリーズ« Visions lyriques »は、日常に潜む奇異なものを、ときに詩的でユーモアあふれる視点で浮かび上がらせます。それは、私たちの現代生活における環境・取り巻くものとの関係の再考を促し、いかに新たな共生を築くことができるかを私たちに訴えます。

本展覧会では、これまでの本シリーズのサイズ感(158mm×228mm)の型を破って、1220mm×797mmの大画面に緻密に描かれた新作をご覧ください。

古市牧子 フランスで制作したテキスタイル作品・絵画作品】

古市牧子は2000年代後半よりフランスに渡り、現在もフランスを拠点に制作・発表をしています。鮮やかな色彩と滲みを巧みに操る独特な水彩作品が言うまでもなく見どころですが、今回は水彩作品に加えて、《Le dieu et la bête》(2023)・《Sans titre》(2022)という二点のテキスタイル(布)作品を出品します。フランスから本展覧会のために移動したテキスタイル作品が、瑞雲庵とどのような空間を織りなすか、注目してください。

【入江早耶 消しカス彫刻の新作ほか

消しゴムの消しカスと樹脂を混ぜて精巧な彫刻作品を表現する入江早耶は、本展覧会で《摩利支天ダスト》を発表します。作品を一度目にしたことがあれば、手法の独特さと高い技術性に驚かされますが、本展では彼女の彫像する対象にも着目してください。入江はコロナ禍以降、人々の信仰に着目し、ある超越的存在が疫病神から福の神に転身する例を引用し、畏怖の念が両義的性質を持つことを明らかにしてきました。新作含む、本展覧会でご覧いただく数々の超越的存在の物語を思い浮かべながらご覧いただけましたら幸いです。

【石橋友也《金魚解放運動》 2024 version】

《金魚解放運動》は、石橋友也が2012年より5年間かけて取り組んだプロジェクトです。本展では関連作品である《1700 Years》と合わせて、2024年改版を展示します。金魚は1700年の時間をかけて祖先であるフナから愛玩を目的としたデザインに品種改良されてきました。自然環境でもはや生存することのできない、人間の欲望を反映した姿に形造られた金魚は、人間が自らを取り巻く世界を「人間化」する文明という営為を象徴しています。

【クワクボリョウタ 瑞雲庵におけるインスタレーション】

クワクボリョウタは、光源とさまざまなオブジェが織りなす影の中に身を置くインスタレーションで高い評価を受けている一方、歴史や空間の詳細なリサーチに基づく作品や美術史の引用に基づく興味深い表現を探究しています。本展覧会では、「瑞雲庵」という場との対話により再解釈されるクワクボによるインスタレーションに注目していただければと思います。


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